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文献詳細

雑誌文献

精神医学39巻7号

1997年07月発行

文献概要

研究と報告

悪性リンパ腫によるparaneoplastic limbic encephalitisと考えられた1例

著者: 高畑紳一12 倉本恭成1 池田正国1 森岡壯充1 山口博之13

所属機関: 1広島市立安佐市民病院神経科精神科 2現,広島大学医学部神経精神医学教室 3現,千代田病院

ページ範囲:P.743 - P.748

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 【抄録】症例は74歳男性。退職後,意欲低下,食思不振,体重減少などの抑うつ状態を疑わせる精神症状で発症し,精査・加療中にせん妄状態が出現し,徐々に痴呆状態となった。経過中に不明熱,多尿,低Na血症が出現し,SIADHと考えた。腫大した右腋窩リンパ節の生検により,悪性リンパ腫と診断されたが,全身状態が悪化し,死亡した。本症例は画像所見,髄液所見より悪性リンパ腫の中枢神経系への直接的障害は否定的で,亜急性の経過,精神症状より悪性リンパ腫のremote effectであるparaneoplastic limbic encephalitisが疑われた。さらに,髄液中に抗神経自己抗体の1つである抗Hu抗体が存在したため,興味ある症例と考え,若干の考察を加え報告した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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