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文献詳細

雑誌文献

精神医学39巻8号

1997年08月発行

文献概要

研究と報告

発動性欠乏を呈した左上前頭回内側面に病巣を有する2例

著者: 中野光子1 篠永正道2

所属機関: 1順天堂大学医学部脳神経内科 2平塚共済病院脳神経外科

ページ範囲:P.823 - P.829

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 【抄録】左前頭葉内側面に病巣がある2症例について報告した。症例1では巨大AVMを摘出する術前3週間から手術後にかけた約6か月間,症例2では左前大脳動脈M2閉塞症の発症直後から約3か月間,ともに言語を中心に行動全般を観察した。両例とも,発症と同時に突然の緘黙に陥り,自発語の減少を中核として,類似の症状と経過を呈し,ほぼ2か月間で回復した。この自発語の減少が超皮質性運動失語に相当するか発動性低下に伴う緘黙に相当するかは議論が分かれるところであろう。
 筆者らは,これらが行動全般の極度の発動性欠乏に伴って生じ,その回復に並行して改善したこと,また,言語症状も自発語と復唱の乖離が顕著であるというよりは,意欲を要する課題に反応しない印象が強かったところから,これらの症状は発動性欠乏により説明できると考えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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