研究と報告
摂食障害の食行動異常の季節性変動
著者:
山辻仁樹123
有井一朗4
山下達久3
戸梶裕子3
名越泰秀3
鑪直樹5
大橋順子3
澤田親男3
土田英人3
丸田芳裕6
賀川玄一朗3
角掛奈奈子3
崔炯仁3
成本迅3
西尾洋美3
中村道彦3
福居顕二3
所属機関:
1京都第二赤十字病院
2現,紅葉丘病院
3京都府立医科大学精神医学教室
4大阪府済生会吹田病院
5宮崎神経科嵯峨病院
6有馬病院
ページ範囲:P.923 - P.929
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【抄録】摂食障害の予防的介入および薬物療法や光療法の適応を考える上で,摂食障害の季節性変動を把握することが有用であると考え,221例の摂食障害患者の不食,過食,嘔吐の発症月を調査し,その月別人数と各月の可照時間の相関により季節性変動を検討した。不食の発症は春(4月)から夏に多く,冬に少なかった。過食の発症は冬(1月)に多く夏(6月)に少なかった。嘔吐は2月と4月に多かった。また嘔吐の発症は過食の発症と0.34か月の時間差を保ちながら連動していた。病型別には,AN-RやAN-B/PよりもBN(特にANの既往のあるBN)の季節性変動が高かった。これらのことから日本においても摂食障害の季節性変動の存在が示された。