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文献詳細

雑誌文献

精神医学39巻9号

1997年09月発行

研究と報告

慢性精神分裂病患者の遠隔記憶

著者: 数井裕光12 小森憲治郎13 数井美貴1 山田典史1 堀野敬1 森隆志1 篠原英明14 橋本衛2 森原剛史5 武田雅俊5

所属機関: 1東加古川病院 2兵庫県立高齢者脳機能研究センター 3現,愛媛大学医学部神経精神医学講座 4現,榎坂病院 5大阪大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.937 - P.944

文献概要

 【抄録】慢性精神分裂病患者21例の過去の出来事の再認能力を検討したところ,分裂病発症前の出来事の再認は良好であったが,発症後の出来事では障害されていた。したがって,再認障害は記銘時の障害によると考えられた。さらに発症後の出来事の正答率と,PANSSの陰性尺度,および,そのいくつかの下位項目とは有意な負の相関を認めた。しかし初発年齢,罹病期間,総入院期間,テレビ視聴時間とは有意な相関を認めなかった。加えて入院中の出来事と外来治療中の出来事の成績は同等であったので,今回認められた遠隔記憶の障害は,世間から隔絶されたという環境によるものではなく,陰性症状としてみられる精神分裂病特有の病態のためであると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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