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文献詳細

雑誌文献

精神医学4巻11号

1962年11月発行

特集 睡眠

Symposium・1

睡眠と急性神経症,その脳波的解釈

著者: 吉井直三郎1

所属機関: 1大阪大学医学部第二生理学教室

ページ範囲:P.799 - P.804

文献概要

 (1)「頻度特異波があらわれる大脳の活動状態」は動物および人の神経症と関係がある。これらは大徐波睡眠に先行してあらわれるという点で前睡眠状態である。
 (2)動物の急性神経症と,条件づけられた頻度特異波が出現する背景とに共通の脳内過程として(ⅰ)海馬性同期化の抑制過程,(ⅱ)下位脳幹網様体の活動による皮質,視床脳波の平坦化過程をあげる。この2過程は末梢性および中枢性条件反応の正常な出現を逆説的にするものである。この2条件が揃つたとき,条件づけられた頻度特異波を皮質にあらわし,その前後において動物の行動は急性神経症を示す。人では浅い睡眠状態で頻度特異波があらわれる。
 (3)頻度特異波があらわれる大脳の活動状態,すなわち急性神経症状態と,深唾眠(大徐波をともなう新皮質型睡眠)および夢過程と関係があるといわれている賦活睡眠(覚醒型脳波を示す菱脳型睡眠)とを比較して,第1表に示した。
 (4)頻度特異波の条件づけから,脳波による記憶痕跡を大脳皮質こ求むべぎであると考えられるが,その明確な部位やニウロン準位におけるメカニズムはまだ明らかでない。
 (5)上行性網様賦活系にあるadrenergic neuron systemが皮質,皮質下に小速波を生じるのに対し,cholinergic neuron systemgが皮質,皮質下脳波を平坦化し皮質,皮質下に固有の内在性リズムの出現を助けると考えられる成績を加えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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