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K. P. Kisker:精神分裂病者の体験変遷
著者: 島崎敏樹1 中根晃1
所属機関: 1東京医歯大神経科
ページ範囲:P.201 - P.206
文献購入ページに移動 最近,われわれが手にした書物にPsychiatrieder Gegenwart(1960)がある。これには分裂病の臨床症候学がわずか27頁しかさかれていない。内因性精神病では治療のほうが前景に立つてしまつて,分裂病と名づけられている疾患にいたっては,Bumkeの精神医学全害(1932)の時代より多くは知られていないのである。
ところがその後,分裂病は別の平面から論じられることになつた。それは精神分裂的存在の本質それ自身,そして世界,とくに人間共同世界との関係から追究され,それは多くの論文や紹介から知られているとおりである。Kiskerは分裂的存在のナゾであるその特異性を明らかにするため,心理学者Kurt Lewinの位相力学(dynamischeTopologie)を用いてこの病の経過法則,分裂病者と世界との関係を明かるみに出し,また,世界性と肉体性とをそなえた人格の心の内部の力動の法則によつて分裂病者の体験変遷がおこると説き,この心の固有法則を彼はPsychonomieと名づけた。
ところがその後,分裂病は別の平面から論じられることになつた。それは精神分裂的存在の本質それ自身,そして世界,とくに人間共同世界との関係から追究され,それは多くの論文や紹介から知られているとおりである。Kiskerは分裂的存在のナゾであるその特異性を明らかにするため,心理学者Kurt Lewinの位相力学(dynamischeTopologie)を用いてこの病の経過法則,分裂病者と世界との関係を明かるみに出し,また,世界性と肉体性とをそなえた人格の心の内部の力動の法則によつて分裂病者の体験変遷がおこると説き,この心の固有法則を彼はPsychonomieと名づけた。
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