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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

精神分裂病様症状をともなつたマルファン症候群の1例

著者: 杉本直人1 下条和敏1 森清則1 小林淳鏡2

所属機関: 1岐阜県立医科大学神経精神科 2京都大学医学部精神科

ページ範囲:P.475 - P.481

Ⅰ.緒言
 いわゆるマルファン症候群という疾患名の創設は,1931年,H. Weve29)によるものである。文献のうえでこの疾患の最初の報告は,1896年にA. B. Marfan16)による,5才の1女児に関する症例報告に始まる。彼は,四肢の骨が異常に細長く,同時に腱の短縮した特異な体型を有する患者を見出し,これを四肢の先天性奇型と考えてDolicostenomaly(Langgliedigkeit)なる名のもとに記載した。しかしこの記載では,単に四肢の特徴がとらえられたのみで全身所見の十分な観察はなされていなかつた。
 その後MarfanからWeveまでの間に,この体型の特徴のほかに他の重要な所見,たとえば眼球の水晶体偏位,虹彩震盪あるいは心臓血管系の障害などの知見がえられるとともに,諸家によつてこの疾患に種々の名称が与えられる結果ともなつた。これにArachnodactyly-Achard1)(1902) Acromacry-Moniz18)(1925)らの別命がある。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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