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研究と報告
分裂病離人症とその精神療法
著者: 坪井弘次1
所属機関: 1名古屋市立大学医学部神経精神医学教室
ページ範囲:P.549 - P.553
文献購入ページに移動 Communicationの障害は,分裂病の諸体験のうちの主要精神徴候の1つであることはのべるまでもないが,中でも,離人症体験は自我意識の異常,なかんづく,能動性意識のそれにおいて,作為体験と並んで,興味深い現象だと思う。しかしながら,離人症的訴えは分裂病にかぎらず,正常人でも反応性にもたらされるし,神経衰弱やうつ病などの症状の一部としてもあらわれる。それゆえに,作為体験とは異なり,人格分裂傾向も少ないと考えられるが,このような対人接触における変容の現象は,さらに解明を要する問題だと思われるので,離人症状を主訴とした分裂病の1症例における離人現象の記述をも添えて,ある角度から考察を加えてみた。
離人症の訴えかたにはいろいろあつて,1)外界意識の離人症(allopsychic depersonalization),色彩がぼやけて,灰色で,立体感がないという知覚の疎遠感,いつ,どこだかはわかるが,そんな気がしないという指南力感の喪失,2)自己精神の離人症(autopsychic depersonalization),昔みたものがはつきり頭に浮かんでこないという記憶の疎遠感,何をみても感動しないという感情喪失,ロボットが歩いているようだという行動感の喪失,3)身体離人症(somatopsychic depersonalization),自分の身体も他人のもののように思われ,空腹感も満腹感もないとか,いくら働いても疲れたと感じないという身体感覚の疎遠感などがある。
離人症の訴えかたにはいろいろあつて,1)外界意識の離人症(allopsychic depersonalization),色彩がぼやけて,灰色で,立体感がないという知覚の疎遠感,いつ,どこだかはわかるが,そんな気がしないという指南力感の喪失,2)自己精神の離人症(autopsychic depersonalization),昔みたものがはつきり頭に浮かんでこないという記憶の疎遠感,何をみても感動しないという感情喪失,ロボットが歩いているようだという行動感の喪失,3)身体離人症(somatopsychic depersonalization),自分の身体も他人のもののように思われ,空腹感も満腹感もないとか,いくら働いても疲れたと感じないという身体感覚の疎遠感などがある。
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