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文献詳細

雑誌文献

精神医学4巻8号

1962年08月発行

文献概要

動き

沖縄の精神衛生

著者: 斎藤茂太1

所属機関: 1精神科斎藤病院

ページ範囲:P.593 - P.595

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 沖縄は昔から,貿易の中継地として生きてきたところである。いわば,国際的な「かつぎ屋」であつた。そのために,人間も,文化も,まじり合い,からみあつて,一種独特の沖縄文化が形づくられた。沖縄の舞踊をみると,能あり,雅楽あり,ポリネシアあり,タイあり,「四ツ竹」などという踊りは,まさに竹製のカスタネットをもつたスペイン舞踊である。昔から東西文化の交流点であることは沖縄の宿命であつたのであろうが,戦後大きく変わつた沖縄が,またまた同じ運命を負わされている。波は太平洋の彼岸からやつてきた。
 私は短時日ではあつたが,そこを訪れてきた。那覇から牧港を経て,カデナ,名護へ通ずる国道1号線は沖縄本島の大動脈である。道路沿いのレストランでラッキーラアガアなどをのんでいると,ふとロスの郊外にでもいるような気がするのであつた。基地の町コザ市のたたずまいは,モーテルこそないけれども,カナダあたりの国道沿いにドライバー相手にできあがつたいなか町のようであつた。街ではPIZZAを食わせ,ラブスターといえば4匹も皿の上に並んでいるアメリカ的ボリウムのはんらんであつた。そしてまた一方には,昔ながらの古典がみごとに受継がれ,琉球ガスリに偉大な体躯をつつんだ糸満の女性が石造りの豪壮な墓の前で泡盛を祖先の霊とくみかわしている姿もみられるのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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