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文献詳細

雑誌文献

精神医学40巻1号

1998年01月発行

文献概要

研究と報告

精神科外来における成人病とMRI上の脳障害の分析—第2報:脳障害指数(BDI)による群間比較と痴呆化の推定

著者: 苗村育郎1 菱川泰夫1 林雅人2

所属機関: 1秋田大学医学部精神科学教室 2平鹿総合病院

ページ範囲:P.45 - P.52

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 【抄録】今日の精神科における器質的脳障害の全貌を明らかにするために,計1,812例のMRI上の脳障害の程度を,個人ごとの脳障害グレード(BDG;grade of brain damage,G0〜G4)および患者群ごとの脳障害指数(BDI;brain damage index)として解析した。BDGで分けた個人別のMRI異常所見は,60歳以上の群に限ると,G2以上が77%,G3以上が50%を占めた。基礎疾患との関係をG2以上群でみると,63%に高血圧があり,男の73%にアルコール過飲を,女の74%に高脂血症を認めた。痴呆の出現率を求めるとG3以上では75%,G4では92%であった。
 次に,各患者群のBDIの比較では,軽度群(BDI<100;N,S,EP群など),中度群(100≦BDI<200;AI,I,AL,D群など),重度群(200≦BDI<300;各群の高齢層に散在),最重度群(300≦BDI;DZ群)に判別でき,BDIが約280になると大部分の患者が痴呆化していることがわかった。以上から,「生活習慣病」に関連した脳器質症候群が精神科外来の重要部分を占め,今後の痴呆予防と精神医療のあり方を決める重要因子となっていることが判明した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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