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文献詳細

雑誌文献

精神医学40巻1号

1998年01月発行

文献概要

研究と報告

若年に精神症状で発症し,重篤な経過をとるが回復可能な急性脳炎—急性リンパ球性髄膜脳炎の3例

著者: 深井浩介1 石津秀樹1 西中哲也12 山田了士1 秋山一文1 黒田重利1

所属機関: 1岡山大学医学部神経精神医学教室 2現,岡山大学医学部神経内科学教室

ページ範囲:P.63 - P.69

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 【抄録】若年者で急性に精神運動興奮などの精神症状で発症し,昏睡,不随意運動,抑制困難なけいれんを伴う重篤な状態に陥り,ICU管理を要したが,1〜2年後に寛解した脳炎の3例を経験した。検査上,髄液は正常ないし軽度の細胞増多を示すにとどまり,CT,MRIで局所異常所見がなく,ウイルス性が強く疑われたが,調べえたかぎりの抗原の検査では原因ウイルスの同定はできなかった。文献上では神経病理学的に急性リンパ球性髄膜脳炎(ALME)と診断された症例の多くが類似の症状経過を示していた。ALMEはCT,MRIの所見と臨床的特徴から,臨床診断も可能と考えられ,全身管理などを適切に行えば救命のみならず寛解しうるものと考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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