icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学40巻10号

1998年10月発行

研究と報告

阪神大震災被災者におけるPTSDについて

著者: 湖海正尋1 高内茂1 大原一幸1 守田嘉男1

所属機関: 1兵庫医科大学精神神経科

ページ範囲:P.1061 - P.1068

文献概要

 【抄録】阪神大震災3か月後より半年間にわたり激震地帯東部にある大学病院精神科受診者においてPTSDの発生を調査した。精神病圏や痴呆などを除く疎通性良好な対象患者186名中,DSM-IV診断基準に適合したPTSDは6例であり頻度は3.2%であった。諸外国の震災報告例と比較して低頻度だが,調査対象群の設定や復旧システムによる差異が考慮され,災害精神医学の疫学的研究上の問題が示唆された。また,PTSDの4症例に関してはうつ病とのcomorbidityを認めたが,これらにおいてはPTSDがうつ病経過上の部分症状を構成しているものとも解釈された。PTSD症例は診断基準に適合してもその疾患単位性は必ずしも保証されない可能性と,我が国におけるPTSD概念の詳細な検討の必要性を指摘した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら