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文献詳細

雑誌文献

精神医学40巻10号

1998年10月発行

文献概要

研究と報告

認知療法が有効であった阪神淡路大震災によるPTSDの1例

著者: 多賀千明1 井上和臣2

所属機関: 1京都第二赤十字病院精神科 2鳴門教育大学人間形成基礎講座

ページ範囲:P.1069 - P.1075

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 【抄録】阪神淡路大震災後2年間にわたり心的外傷後ストレス障害(PTSD)が持続し,初めて精神科を受診した症例に対し,認知療法を施行した。本症例には地震の再体験,過覚醒などの症状が認められ,これにかかわる認知モデルを作成した。その中で「大きな地震が来るのでは」という否定的自動思考を生む“破局視”に焦点を当て,その修正を試みた。また地震翌日に偶然生じた夫の突発性難聴に関して「治らなかったのは自分の責任」という強い罪責感が認められ,これがPTSD症状遷延化の原因となった。この罪責感には“自己関係づけ”や“すべし表現”といった認知の歪みを伴ったため,「誰の責任かのとらえ直し」という再帰属法を行い改善に至った。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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