icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学40巻11号

1998年11月発行

文献概要

研究と報告

視力障害を有する痴呆老人における幻視—Charles Bonnet症候群との比較

著者: 石倉菜子1 朝田隆1 木村通宏1 斉藤英知1 宇野正威1

所属機関: 1国立精神・神経センター武蔵病院精神科

ページ範囲:P.1163 - P.1169

文献購入ページに移動
 【抄録】複合幻視を呈した視力障害を有する痴呆患者の4症例を呈示した。症例はいずれも眼疾患による視力障害を有しており,痴呆が後発した。意識清明下に,生き生きとした人物,動物などの複合幻視が一定期間,ある頻度で継続して出現した。これらの臨床特徴はCharles Bonnet症候群の幻視のそれに類似していた。過去の器質性幻視と視力障害者の幻視に関する報告を参考に,幻視発現の機序を考察した。そして視力障害に頭頂葉および後頭葉を中心とする大脳病変が加わることが,4症例における幻視発症の重要な基盤であると考えた。さらに発症の誘因としての状況因,環境因についても言及した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?