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短報
クロザピンの投与により多飲が改善した慢性期分裂病の1例
著者: 高田秀樹1 高橋義人1 久住一郎1 小山司1
所属機関: 1北海道大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.1209 - P.1212
文献購入ページに移動一方,多飲に関する薬物療法の報告はいくつかみられるが,最近まで治療法として確立したものはなかった。しかし,Leeら6)が,1991年に精神分裂病患者の多飲がクロザピン(CLZ)によって軽快した初めての症例を報告して以来,次々に追試が行われ,その有効性が確認されつつある1,2)。CLZは1960年代にスイスで開発された薬物であり,いわゆる非定型抗精神病薬のプロトタイプとされている。特に1980年のKaneらの報告4)で,治療抵抗性の精神分裂病に対する有効性が確認されたため脚光を浴び,我が国でも1995年より臨床試験が開始されている。今回,我々は慢性期分裂病患者の多飲が,CLZの治療抵抗性精神分裂病に対する臨床前期第Ⅱ相試験(以下治験)中に軽快した1例を経験した。本邦における最初の症例となるため,ここに報告し,若干の考察を試みた。
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