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文献詳細

雑誌文献

精神医学40巻12号

1998年12月発行

文献概要

研究と報告

初診時の人格障害尺度評価は大うつ病の4か月予後予測に有用か

著者: 上原徹12 坂戸薫12 佐藤哲哉3 桑原秀樹1 染矢俊幸1

所属機関: 1新潟大学医学部精神医学教室 2新潟市民病院精神科 3藤田保健衛生大学精神医学教室

ページ範囲:P.1269 - P.1274

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 【抄録】初診時に得られた人格障害に関する情報が,うつ病の4か月治療予後を予測する要因として有用かどうかを,DSM-Ⅳ大うつ病外来患者32名を対象に検討した。人格障害評価には自己記入式の日本語版Personality Diagnostic Questionnaire-Revisedを用いた。重回帰分析では,初診時のクラスターAおよび自己愛性,依存性人格障害尺度得点が高く,初診時のHamiltonうつ症状尺度得点(HAM-D)と年齢が低いほど,4か月後のHAM-D得点が高いことが示された。4か月後のZung不安尺度得点は,初診時の強迫性人格障害尺度得点と有意な正相関を示した。クラスターA人格障害が予後不良要因となるという所見は,症状改善期に人格障害面接を行った研究結果と合致するものである。また本研究では,予後評価に用いる症状尺度の違いにより,人格の予後評価に与える影響も異なることが示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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