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文献詳細

雑誌文献

精神医学40巻12号

1998年12月発行

研究と報告

高脂血症の脳障害—第1報:前頭萎縮とコレステロール値

著者: 苗村育郎1 菱川泰夫1

所属機関: 1秋田大学医学部神経科精神科

ページ範囲:P.1289 - P.1295

文献概要

 【抄録】主として精神科を受診した1,812名の脳のMRI画像を検討し,高脂血症(HL)の役割をロジスティック回帰分析により検討した。その結果,HL患者は,前頭部を中心とする脳萎縮を高頻度に生じることが明らかになった。HLの前頭萎縮は50歳代後半から頻度を増し,60歳代以上で高頻度となる。HLの前頭萎縮に対する相対危険度は,rr=2.3(p<0.00001)で,アルコール(AL)過飲との相乗効果は認められなかった。前頭萎縮の頻度は,女性では血清総コレステロールが180mg/dlを超えると急増し,240〜260mg/dlでピークを示した。男性では160mg/dlから増加し,200〜220mg/dlでピークとなった。
 これらの結果は,HLが単独でも脳障害の危険因子となることを示すとともに,血清コレステロール値の健康域についての再考を迫るものである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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