文献詳細
シンポジウム がん,臓器移植とリエゾン精神医学—チーム医療における心のケア
がん医療におけるリエゾン精神医学—情報開示とQOL向上にどう取り組めばよいか
著者: 内富庸介1 明智龍男1 久賀谷亮1 奥山徹1 中野智仁1 三上一郎1 岡村仁2
所属機関: 1国立がんセンター研究所支所精神腫瘍学研究部・東病院精神科 2国立がんセンター中央病院精神科
ページ範囲:P.1325 - P.1329
文献概要
がん患者の精神的負担が精神医学的研究として明らかにされるようになったのは(当然であるが),がんのインフォームド・コンセントが一般化した後の1970年代から,欧米においてである。1977年,米国ではスロンケタリングがんセンターに,疼痛緩和部門と並んで精神科部門が開設された。Psycho-Oncologyは,現在では腫瘍学(medical oncology)の1分野となっているが,腫瘍病棟という特殊な医療環境の出現,癌治療成績の向上,知る権利の台頭など社会情勢の変化により患者に心理社会学的負担が生じていた背景があった。日本でも,患者のQOLや自己決定権を尊重する風潮が高まり,またがんに関する溢れんばかりの情報化社会にあって,医師と患者がコミュニケーションなしでがん治療を進めることは大きな負担となってきている。
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