文献詳細
特集 精神病像を伴う躁うつ病および分裂感情障害の位置づけ—生物学的マーカーと診断・治療
文献概要
非定型精神病という診断名のもとに,精神分裂病・躁うつ病・てんかんという三大内因性精神病の臨床症状の一部を併せ持つ独立した疾患の存在が,満田らによって提唱されてきた5,11,12)。このような病態の存在は欧米の精神科医らによっても報告されており8,12),DSM-IVで診断すれば精神病像を伴う双極型気分障害あるいは分裂感情障害に該当すると考えられる。このDSM-IVにみられる分類からいわゆる非定型精神病を考えると,精神分裂病圏に入れるべき病態か気分障害圏に入れるべき病態かという議論になると思われる。これに対して,我が国では依然としていずれにも似ていて非なる独立の疾患単位であるという立場があり,本疾患の存在をめぐっては精神分裂病圏・気分障害圏・独立した1つの精神障害という議論が行われている現状である。
近年の精神疾患に対する診断方法上の進歩の1つに,内分泌機能検査・脳画像検査などの生物学的マーカーによる診断が挙げられる。しかしながら,うつ病診断とdexamethasone suppressiontestや,アルツハイマー病診断と脳MRI検査との関係をみてもわかるように,精神症状や治療経過の観察とこのような検査結果を照らし合わせて総合的に検討することが,診断学上重要なのは明らかである。そこで今回筆者は,「精神病像を伴う躁うつ病および分裂感情障害の位置づけ」という課題に対して,薬物治療を行いながら病状経過を1〜12年の間観察しえた非定型精神病25名を対象に,薬物反応性という視点からの本疾患の位置づけを試みてみた。
近年の精神疾患に対する診断方法上の進歩の1つに,内分泌機能検査・脳画像検査などの生物学的マーカーによる診断が挙げられる。しかしながら,うつ病診断とdexamethasone suppressiontestや,アルツハイマー病診断と脳MRI検査との関係をみてもわかるように,精神症状や治療経過の観察とこのような検査結果を照らし合わせて総合的に検討することが,診断学上重要なのは明らかである。そこで今回筆者は,「精神病像を伴う躁うつ病および分裂感情障害の位置づけ」という課題に対して,薬物治療を行いながら病状経過を1〜12年の間観察しえた非定型精神病25名を対象に,薬物反応性という視点からの本疾患の位置づけを試みてみた。
掲載誌情報