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文献詳細

雑誌文献

精神医学40巻2号

1998年02月発行

文献概要

研究と報告

成人病による慢性脳障害の画像疫学—第1報:大脳皮質の萎縮所見の危険因子について

著者: 苗村育郎1 菅原純哉1 菱川泰夫1

所属機関: 1秋田大学医学部精神科学教室

ページ範囲:P.175 - P.182

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 【抄録】MRI画像上の脳障害の発生要因を明らかにするために,計1,311例の精神科受診者でみられた脳障害を分類し,これらに関与する可能性のある成人病・危険因子群との関係をロジスティック回帰分析によって検討した。その結果,(1)両側対称性の前頭萎縮(FA)には過剰飲酒(AL)と高脂血症(HL)が強い危険因子であるが,両側性の側頭萎縮(TA)に対してはALと高血圧(HT),および脳卒中が有意な危険因子であった。(2)びまん性の脳溝拡大(SD)に対してはALとHTが危険因子とされた。また,海馬の萎縮に対しては,HTが正の,HLは負の危険因子である可能性が示された。(3)側脳室の拡大にはALと心不全が危険因子であり,HTとHLの寄与は少なかった。第三脳室の拡大にもALと虚血性心疾患が有意な寄与を示した。以上の諸関係は,脳画像所見の解釈の基礎となるのみでなく,成人病の脳障害と痴呆予防のためにも重要であると思われる。大脳白質と基底核,脳幹の障害類型とその危険因子については続報15)で論じる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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