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成人病による慢性脳障害の画像疫学—第2報:大脳白質・基底核・脳幹障害の危険因子群のロジスティック解析
著者: 苗村育郎1 菅原純哉1 菱川泰夫1
所属機関: 1秋田大学医学部精神科教室
ページ範囲:P.279 - P.287
文献購入ページに移動 【抄録】計1,311例の精神科受診者でみられたMRI上の脳障害を分類し,これらに関与する可能性のある成人病などの危険因子を,ロジスティック回帰分析によって検討した。その結果,(1)高血圧は,大脳白質と基底核領域において,ラクナ(LI)やleukoaraiosis(LKA),T2 high intensity spot(T2 spot)などを生じさせる傾向が著明であるほか,側頭・海馬の萎縮とも有意な関係を持つことが示された。(2)アルコール過飲は,前頭・側頭の萎縮と脳溝および脳室系の拡大を生じる傾向が強い。(3)高脂血症はアルコール過飲と同様の前頭萎縮を生じるほか,大脳白質の外縁部と基底核領域にT2 spotを出現させる傾向がある。(4)糖尿病は,橋底部のLKAおよび大脳白質のLIと関連する。(5)基底核のLIとLKAは痴呆に有意な関連を持つ。大脳白質のLIとT2 spotは,grade 2以上であれば痴呆に関連することが示された。
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