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特別寄稿
APA分裂病治療の臨床指針—概要と解説
著者: 井上新平1 岡田和史1 泉本雄司1 掛田恭子1 西原真理1 喜井大2
所属機関: 1高知医科大学神経精神医学教室 2土佐病院
ページ範囲:P.321 - P.330
文献購入ページに移動APA(American Psychiatric Association)は,過去に大うつ病や摂食障害の治療についての指針を出しているが1,2),今回は分裂病の治療指針がまとめられた3)。作業の過程は,(1)分裂病の臨床と研究に携わる精神科医による作業グループが第1次草稿をまとめた,(2)包括的な文献レビューが行われた,(3)15の機関と90人による広範な見直しをもとにいくつかの草稿が作られた,(4)さらに3年から5年かけて修正作業が行われたというものである。文献収集には,MEDLINE,PsycLIT,MEDLARSが用いられた。
ガイドラインの構成を表1に示した。「前文」でガイドラインを読むにあたって精神科医が心得るべき事柄について簡単に触れられ,次いでここで扱われるのは18歳以上の患者であると断られている。さらに上述の作業過程が手短にまとめられている。続いて「推奨する治療の要約」が書かれているが,これがもっとも参照しやすい。「治療原則と選択肢」と「治療の計画と実行」の項目では各論的な内容が詳しく書かれているが「推奨する治療の要約」は「治療の計画と実行」の忠実な要約である。「定義・自然史・疫学」では疾患概念的なことが述べられ,「治療に影響する臨床的・環境的特徴」では別の切り口で臨床的に重要な事項が扱われる。最後の「研究の方向」ではこれから重視されるべき研究方向が短く述べられている。
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