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—Springer SP,Deutsch G著/福井圀彦,河内十郎・監訳—左の脳と右の脳 第2版 フリーアクセス
著者: 岩田誠1
所属機関: 1東京女子医科大学神経内科
ページ範囲:P.342 - P.342
文献購入ページに移動ヒトの精神活動の基盤となっている様々な知的機能を,左右の半球に各々分担させて考えることを,二分法(dichotomy)理論という。失語症の病変はほとんどが左半球にあるため,ヒトの言語機能は左半球に偏在しているであろうと考えられたことに対し,それでは右半球は何をしているのだ,という問題が浮かび上がってくる。これに答えるために様々な臨床的事実や実験結果が蒐集された結果,左半球と右半球には,それぞれ反対側の半球は持っていない得意な能力があり,ヒトの知的活動は右と左の半球が分担して実現されているという考え方が一般的に信じられるようになった。その結果,ヒトの知的機能の大部分が,右半球か左半球かの特異的な能力に由来すると考えられるまでに至っている。これが二分法理論であり,これによって生まれてきたのが,右半球能力の重要性を極端に強調する「右脳信仰」なのである。
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