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研究と報告
一級症状(Schneider, K.)の幻聴に関する1考察
著者: 濱田秀伯1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部精神神経科学教室
ページ範囲:P.381 - P.387
文献購入ページに移動 【抄録】Schneide, K. が分裂病において記載した一級症状に含まれる3つの形式(考想化声,行為批評,話しかけと応答)の言語幻聴を示した4症例を提示し,症候学的な見地から検討を加えた。言語幻聴の初期段階は考想化声であり,これは自生思考が自問自答を繰り返すうちに感覚性を帯びたものとみられる。次いで声が他者性を獲得し,行為の確認と干渉をもたらすと行為批評の形になる。問いかけの部分に他者性が生じると,他人が話しかけ自分が答える問答の形をとるが,応答にも他者性が及ぶと他人同士の会話になる。これらの幻聴は自我障害を基礎に,強迫現象に近い構造を持ち,仮性幻覚から真性幻覚へおおむね一定の進展をたどる。
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