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雑誌詳細

文献概要

短報

被害妄想で発症した歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)の1例

著者: 三上智子1 車地暁生1 糸川かおり2 土屋賢治1 安宅勝弘1 鈴木徹也1 吉次聖志1 伊澤良介1 藤谷興一1 南海昌博3 渥美義賢4 融道男1

所属機関: 1東京医科歯科大学神経精神医学教室 2埼玉医科大学神経内科学教室 3東京警察病院 4国立特殊教育総合研究所

ページ範囲:P.423 - P.426

 歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(dentato-rubro-pallido-luysian atrophy;DRPLA)は,発病年齢により異なる多彩な症状を示す常染色体優性遺伝疾患である。内藤7,8)は本症を3型,すなわち20歳以下で発症しミオクローヌスとてんかん発作を主症状とする若年型,40歳以降に発症し進行性ミオクローヌスてんかんを呈さず小脳失調と舞踏病アテトーゼが主症状である遅発成人型,20〜30歳代で発症し両型の移行型を呈す早期成人型に分類している。1994年,本症の第12染色体短腕に特異的なCAGリピートの伸長があることが確認され4,5),それとともにCAGリピートの反復回数と,発症年齢および臨床症状に一定の相関,すなわちCAGリピート回数が著しく多い症例は若年型を示し,CAGリピートの伸長が比較的少ない症例は成人型を示す傾向にあることが報告されている4,5)。以前より本症に指摘された表現促進現象には世代間でCAGリピートが伸長することが関与しており,このCAGリピートは正常対照で6〜35,DRPLA症例で54〜79とリピート数に重なりがないことから,遺伝子解析でその診断が可能とされている4,5,10)。今回,我々は被害関係妄想,追跡妄想で発症し,抗精神病薬を主剤とした薬物治療の経過中に舞踏病アテトーゼ様不随意運動および歩行障害が生じ,遅発性錐体外路性副作用を疑われたが,その後小脳失調や人格変化,痴呆症状が顕在化し,遺伝子解析にてDRPLAと診断された症例を経験したので報告する。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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