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文献詳細

雑誌文献

精神医学40巻4号

1998年04月発行

文献概要

私のカルテから

腎透析を必要とした精神分裂病の2症例

著者: 小森薫1 楠和憲1 尾崎紀夫1 大竹なほ代1 武市幸子1 藤田潔史1 伊藤哲彦1

所属機関: 1藤田保健衛生大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.442 - P.443

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 血液透析療法(以下透析と略す),透析技術の進歩は腎不全治療に寄与し,腎不全患者の生存率の向上につながってきた。その結果,透析人口が増加する一方で,透析患者への精神科的介入の必要性が高まっている3)。一般の透析患者の中にも透析に対する否定的感情を持ち,コンプライアンスに問題を生じる場合がある2)。しかし,我々精神科医にとって急を要する課題は透析を必要とする精神病患者の場合であろう。透析患者中に占める精神疾患患者の割合は1.4%(4,418名中61名)に達し4),精神疾患患者の透析療法導入時には,緊急性の高い事態である場合でも,コンプライアンスの点で問題が生ずることが多く,透析スタッフは透析治療を安全に行い,危険防止に努めるのに腐心させられることが多い3)。特に,精神分裂病患者は妄想知覚をはじめ種々の認知障害を持つうえ,時として多飲を呈するため,とりわけ透析導入とその維持に困難をおぼえることが多い。
 今回我々は,透析が導入された精神分裂病の中から対照的な経過をたどった2症例を選び,透析療法を必要とする精神分裂病患者への対応について論じたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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