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特集 アジアにおける最近の精神医学事情
アジアにおける最近の児童精神医学研究と医療事情
著者: 山崎晃資1 白瀧貞昭2
所属機関: 1東海大学医学部精神科 2神戸大学医学部精神科
ページ範囲:P.479 - P.486
文献購入ページに移動アジアは,東の日本,西のトルコ,南のインドネシア,北のモンゴルまで,実に35か国からなっている。アジアは,1990年代には世界人口の60%を占め,子どもの数が最も多い地域である。「1996年世界子供白書」5)によると,アジアの国々の合計特殊出生率は,イエメン7.60,オマーン7.20,アフガニスタン6.90,ラオス6.69,サウジアラビア5.90などが高く,香港1.32,日本1.48,韓国1.65,タイ1.74,シンガポール1.79,中国1.80などが低い。国民1人当たりのGDP(USドル)は,日本40,800,シンガポール28,020,香港23,800,イスラエル16,660,クエート16,020などが高く,他方,ネパール200,バングラデシュ240,カンボジアとベトナム280,イエメン310などが低い。
このように,アジアは世界で最も人口が多い地域で,人口・社会・経済指標の落差が極めて大きいために,児童精神医学研究と医療事情をアジアとしてひとまとめに論じることはできない。ここでは,中国,韓国,台湾,シンガポール,インドネシア,インドなどの状況を中心に述べることにする。いずれも,日本児童青年精神医学会の国際交流基金によって招聘したアジアの児童精神科医の講演記録をもとに,「1996年世界子供白書」5)と「1997年世界人口白書」6)によって一部の資料を修正したものである。
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