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文献詳細

雑誌文献

精神医学40巻5号

1998年05月発行

文献概要

短報

服薬および症状自己管理モジュールを用いた心理教育の効果

著者: 池淵恵美1 納戸昌子1 吉田久恵1 中澤美枝子1 高橋倫宗2 森一和3

所属機関: 1帝京大学医学部精神科学教室 2愛誠病院 3神奈川病院

ページ範囲:P.543 - P.546

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 心理教育(psychoeducation)は,精神障害者およびその家族に対して,病気の性質や治療法・対処方法などの,療養生活に必要な正しい知識や情報を提供する心理療法的な配慮を加えた教育的援助アプローチの総称であるが,Goldman3)は心理教育の目的を,精神障害を持つ人に対し疾患の受容を促し,さらに治療とリハビリテーションへの意欲を高め,疾患への対処技能の強化を目指すこととしている。この心理教育は近年我が国においても普及しつつある1)が,これはインフォームドコンセントの土壌の中で良い治療転帰を得ようとする試みといえよう。なお,今回報告する服薬自己管理モジュールと症状自己管理モジュール5)は心理教育と生活技能訓練を組み合わせて実施するところにその特徴がある。本研究は症例数が少なくまだ予備的研究の段階であるが,両モジュールの効果を検証することを目的に実施したので報告する。
 両モジュールについて,簡単にその実施内容を説明したい。両モジュールとも,正確な知識の伝達とともに,問題解決技能訓練や実地練習を通じての対処技能の形成を重視している。服薬自己管理モジュールは,4つの技能領域,すなわち①抗精神病薬について知る,②正確な自己服薬と評価の仕方を知る,③薬の副作用を見分ける,④服用に関する相談からなっている。症状自己管理モジュールは,①再発の注意サインを見つける,②注意サインを管理する,③持続症状に対処する,④アルコール,覚醒剤,麻薬などの使用を避けるの4技能領域からなっている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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