icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学40巻6号

1998年06月発行

研究と報告

間接プライミングを用いた自閉症の言語連想の研究

著者: 十一元三1 神尾陽子1

所属機関: 1京都大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.623 - P.628

文献概要

 【抄録】自閉症者10名と言語性IQを一致させた対照群10名に対して,間接プライミングを用いた言語連想検査を行った。検査では刺激語の呈示に続いて,一部の文字が隠された後続語を示し,欠落した部分を補って単語が完成できた場合に得点を与えた。刺激語と後続語の間には,音韻連想関係,意味連想関係,無関係の3種類が含まれ,種類別に成績を比較した。その結果,意味連想では両群に有意差はなかったが,音韻連想では自閉症群が高得点を示し,両群に強い有意差がみられた。さらに,個人内での音韻連想と意味連想の成績の差を指標とした場合,両群がよく判別された。これらの結果より,自閉症では言語に対して音韻的処理が活発であり,この傾向は自閉症にみられる反響言語などの言語的徴候とも関連する可能性が考えられた。また,本結果をもとに,自閉症における言語の意味的処理の障害の可能性について論じた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら