文献詳細
短報
Risperidoneの投与により著明な体重増加を認めた1症例
著者: 谷川真道12 西島康一1 鎌田芳郎1 片山仁1 宮崎博史1 加藤敏1 石黒健夫1
所属機関: 1自治医科大学精神医学教室 2現,田崎病院
ページ範囲:P.777 - P.779
文献概要
今回我々は,軽度の精神発達遅滞者1名に,被注察感,作業所の指導作業員に対する被害関係念慮のほか自発性の低下,感情の平板化,引きこもりが認められた症例にrisperidone 2mg/日を投与したところ,精神症状の軽快化とともに重度な体重増加を認め,投与中止に伴い体重の増加がとまり減少傾向になった症例を経験した。しかも本症例は,遺伝性の肥満や摂食障害などの食事性の疾患は認められなかった。日常の食事摂取量に関してもほとんど変化がみられず,精神症状の軽快化とともに運動量は徐々にではあるが増えていった。治療薬も抗精神病薬ではrisperidoneのみの単剤投与であったことより,体重増加の原因としてrisperidoneによる薬剤性の体重増加が強く考えられたので,ここに報告する。
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