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雑誌詳細

文献概要

紹介

米国における摂食障害患者の治療の現況—COPE病棟(ピッツバーグ大学摂食障害専門病棟)での重症患者の治療経験から

著者: 永田利彦1 切池信夫1

所属機関: 1大阪市立大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.781 - P.785

■はじめに
 神経性食思不振症は,青年期女性に好発し,顕著なやせ,正常体重の維持の拒否,身体像の異常1)を特徴とする疾患である。精神科疾患の中で最も高率の死亡率を有する3,13)重篤な疾患で,米国精神医学会などによってガイドライン21)が示されているものの,その病因,治療法ともに,未だ確立されるには至っていない。
 この30年間に神経性食思不振症やその他の摂食障害は顕著に増加した16,19)。現在,全米で少なくとも200万人の人が摂食障害に,さらに50から100万人が非定型または摂食障害の病前状態にあると考えられている9,15)。その中で摂食障害専門病棟や専門外来が,徐々に精神科一般病棟から独立する形で出来てきた。現在では全米各地に専門の外来,入院治療施設がある。例えば摂食障害治療の精神科医,心理学者などの組織であるAcademy for Eating Disorders14)には300名以上が登録しており,2年ごとのInternational Conference on Eating Disordersや,その他の小さな会議が年に何回も催され,互いに情報交換が行われている。日本と違い,各施設ごとの自由度が極めて大きいとはいえ,各施設の治療プログラムは比較的似通ったものとなっている。それが構造化された治療環境である。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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