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文献詳細

雑誌文献

精神医学40巻8号

1998年08月発行

文献概要

研究と報告

精神分裂病高危険別居一卵性双生児10年間の観察

著者: 尾崎孝子1 長井曜子2 浅羽敬之1 米田博1 横田伸吾1 堺俊明1 宮島千鶴3

所属機関: 1大阪医科大学神経精神医学教室 2三原病院 3岡南病院

ページ範囲:P.815 - P.821

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 【抄録】本症例は精神分裂病の母親から出生した男子一卵性双生児で,出生直後からA(兄)は病者である母親に,B(弟)は健常者である父方祖母に養育され,6歳からは両親ともども同居している。ABとも厳しい周産期を経た軽度精神遅滞の高危険別居一卵性双生児である。同居直後と同居7年後にみられた,AとB間の性格傾向と行動様式の違いの変化から,環境要因が彼らの人格形成に影響を及ぼすことが示唆された。また対人関係と社会適応状況でBがAに劣っているが,これは両者の脳機能異常の程度の相違によると推測される。いくつかの分裂病発症に関する危険因子が観察できたが,いずれも決定的なものではない。今後もきめ細かい観察と援助が重要となる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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