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文献詳細

雑誌文献

精神医学40巻8号

1998年08月発行

文献概要

研究と報告

強迫性障害患者における強迫症状および人格障害の男女差について

著者: 松永寿人1 切池信夫1 宮田啓2 岩崎陽子1 永田利彦1 松井徳造3 河原田洋次郎1 長尾浩史1 黒田真理1 山上栄1

所属機関: 1大阪市立大学医学部神経精神医学教室 2(医)山西会津田病院 3(医)微風会浜寺病院

ページ範囲:P.839 - P.845

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 【抄録】強迫性障害(OCD)患者の症状や合併する人格障害への男女差の影響について検討した。対象はOCD患者75例(男性33例,女性42例)で,男性では攻撃的,性的な強迫観念と繰り返しの儀式行為が,女性では汚染の強迫観念と掃除洗浄,整理整頓に関する強迫行為が,それぞれ他方に比し高率傾向であった。男性では社会生活上の問題が主にOCD発病に関与し,社会的孤立を認める症例も多く,男性に高率であった分裂病質,分裂病型人格障害などとの関連がうかがわれた。一方,女性では,症状の形成や内容に,家事や家庭での人間関係が関与し,依存性や境界性人格障害がより高率で,家族への依存,巻き込み傾向を認めた。このようにOCD患者では,症状の内容のみならず,合併する人格障害にも男女の性差が多面的に反映されているものと考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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