研究と報告
情緒障害を伴う脳梗塞後遺症患者に対するaniracetamによる治療—Xe-CT,MOSESを用いた検討
著者:
森和彦1
寺本勝哉2
平山壮一郎1
長尾正嗣1
原田能之1
柏木紀代子1
入澤卓1
長尾邦雄1
藤川徳美3
山下英尚4
横田則夫4
堀口淳4
山脇成人4
所属機関:
1医療法人緑風会長尾病院
2社会保険広島市民病院精神科
3国立療養所賀茂病院精神科
4広島大学医学部神経精神医学教室
ページ範囲:P.971 - P.977
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【抄録】情緒障害を伴う脳梗塞後遺症患者25例に対しaniracetamを投与し,MOSESによる症状評価とXe-CTによる局所脳血流測定を行い,これらの関係を検討した。その結果,aniracetam投与後,MOSESでは総合点および情緒障害と失見当の下位尺度が有意に改善した。また,Xe-CTでは右半球,右MCA領域,左被殻の血流が有意に増加した。しかし,MOSESの点数と大脳半球全体の血流量の変化との間には有意な相関関係はなかった。以上の結果から,脳梗塞後遺症の患者の場合,aniracetamの投与による精神症状の改善は,脳血流量の増加のみによってもたらされた結果ではないことが示された。