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文献詳細

雑誌文献

精神医学41巻10号

1999年10月発行

文献概要

研究と報告

特異な病理所見を示したアルツハイマー病の2剖検例

著者: 入谷修司1 土谷邦秋2 池田研二3 小阪憲司4

所属機関: 1東京都立松沢病院精神科 2東京都立松沢病院検査科 3東京都精神医学総合研究所神経病理部門 4横浜市立大学医学部精神医学講座

ページ範囲:P.1061 - P.1069

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【抄録】 特異な臨床像や神経病理像を呈した若年発症のアルツハイマー病(AD)の2症例を報告した。症例1は痴呆の遺伝負因を持ち36歳頃発症し,最後は失外套状態となり全経過8年で死亡し,神経病理学的に脳の萎縮が目立たない一方,大量の老人斑が大脳皮質をはじめ,基底核,小脳にまで観察された。症例2は47歳で発症し,全経過約14年を経て最後は失外套状態になって死亡した症例で,前頭葉から側頭葉にかけての著明な萎縮があり,脳重も775gと著明に減少していた。大脳皮質において神経細胞の脱落の程度や老人斑および神経原線維変化の出現に,部位による強弱があり,また大脳白質の変化が強かった。この2症例の神経病理像は,その組織障害という点においてきわめて広範で重症であり,アルツハイマー病の究極像を示していると考えられた。なお,両例ともに遺伝子検索を施行したが,AD関連遺伝子は同定できなかった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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