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文献詳細

雑誌文献

精神医学41巻11号

1999年11月発行

文献概要

研究と報告

遷延性離脱症候群を呈したアルコール依存症12例の検討

著者: 清野忠紀1

所属機関: 1伊豆函南病院

ページ範囲:P.1155 - P.1161

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【抄録】 アルコール依存症者に急性離脱症状消褪後,引き続きまたは数か月の無症候期を経て多彩な症候群が発現する。欧米でも報告は少なく我が国では皆無に近い。症状は不眠,不安焦燥,抑うつ,分裂病様症状,無為好褥,意識障害で,持続期間は数か月から数年に及ぶ。本症候群をKryspin-Exnerは慢性禁断症候群と呼び,Kissinは遷延性離脱症候群とし,病因を間脳の機能障害と推定した。筆者は過去10年間で典型的な12例を経験したが,2例は自殺した。
 本症候群の病因は,長期の大量飲酒とアルコール禁断による脳の複数部位に機能障害が発生し,急性離脱症状の軽快後もある程度機能障害が残存し,長期に潜在化し,なんらかの契機で顕在化し,症候群が発症すると考えた。発症のメカニズムとして,Flashback現象,Kindling現象,逆耐性現象などのいずれにも当てはまらず,この解明は今後の重要な研究課題であると考える。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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