文献詳細
文献概要
資料
在ペルー日本国大使公邸占拠事件における人質家族のメンタルヘルスとその支援活動
著者: 笠原敏彦1 金吉晴2 小西聖子34
所属機関: 1国立国際医療センター精神科 2国立精神・神経センター精神保健研究所成人精神保健部 3東京医科歯科大学難治疾患研究所被害行動学研究部門 4現,武蔵野女子大学人間関係学部
ページ範囲:P.1237 - P.1242
文献購入ページに移動在ペルー日本国大使公邸占拠事件は国民に大きな衝撃を与え多方面で様々な問題を提示した出来事であった1,6,7)。もちろんメンタルヘルスの面でも重要な課題が教示された。本事件についてはすでにマスコミなどで広く伝えられているし,我々も人質に対するメンタルヘルス活動についてその概要を報告した2〜4)。(包括的な報告は元人質たちの社会復帰上問題がないと判断された時点で行う予定である。)
ところで,本事件において長期にわたって多様なストレスにさらされたのは,人質だけでなくその家族も同様であった。むしろ家族のほうが大変だったと述懐する人も少なくない。そうした家族のストレスの実態やメンタルヘルス上の問題点についてはこれまでほとんど注目されず,また報告もされていない。
我々は精神科医として本事件に関与し,解放後も折をみて元人質やその家族の方々と順次お会いしてきた。1998年9月には再度現地を訪れ,事件後もペルーにとどまっている方々からお話を伺う機会を得た。本稿では,人質家族に対して行われたメンタルヘルス活動とその際聴取したストレスの概要について報告する。さらに,精神医学専門誌への公表を承諾していただいた事例を紹介し参考に供する。
掲載誌情報