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文献詳細

雑誌文献

精神医学41巻12号

1999年12月発行

文献概要

資料

慢性分裂病患者に対する薬物療法の現状—宮崎県内の多施設における調査

著者: 石塚雄太1 黒崎毅1 戸松良孝4 日高三彩6 奥田裕司7 土井浩子2 徳丸潤5 山下賀生3 土井拓1 石田康1 三山吉夫1

所属機関: 1宮崎医科大学医学部精神医学講座 2医療法人向洋会協和病院 3医療法人和敬会国見ヶ丘病院 4医療法人同仁会谷口病院 5公益法人弘潤会野崎病院 6医療法人慈光会宮崎若久病院 7医療法人悠生会吉田病院

ページ範囲:P.1347 - P.1353

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はじめに
 精神科領域の治療にクロルプロマジンをはじめとする抗精神病薬が1950年代に導入されて以来,40年あまりが経過している。今日,精神分裂病の治療は,抗精神病薬の出現以前に行われていた電気けいれん療法やインスリンショック療法はほとんど行われず,抗精神病薬による治療が一般的とされる。精神分裂病の慢性期の薬物療法に関しては,急性期治療後の維持療法と,初期治療で十分な効果が得られず慢性化した難治例に対する治療が主となる。現存の抗精神病薬では,15〜30%の患者には効果が期待しにくいとされる5)。このような現況で,難治例に限らず慢性分裂病患者には投与量の増加,多剤化の傾向が指摘されている14)。長期の薬物療法によって生じる遅発性ジスキネジアなどの遅発性錐体外路症状も重要な問題とされている15)。また,抗パーキンソン薬の長期併用に伴う副作用や精神症状増悪の可能性も考えられている11,13)。比較的安定した精神状態を保っている慢性分裂病患者では,投与中の向精神薬を減量することが躊躇され,長期間ほとんど同じ薬物が処方されていることも少なくない。最近,欧米を中心に作成されている精神科における合理的薬物選択アルゴリズム26)は,我が国でみられる多剤投与の傾向とは相反する立場にある。そこで我々は,宮崎県内の精神科施設に入院中で発症から5年以上経過した慢性分裂病患者を対象として,投与されている抗精神病薬の薬剤の種類と投与量を中心に調査を行い,薬物療法の投与実態を明らかにした。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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