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外傷性頸髄損傷患者におけるせん妄とその危険因子
著者: 南雲直二1
所属機関: 1国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所
ページ範囲:P.159 - P.163
文献購入ページに移動【抄録】 外傷性頸髄損傷の急性期におけるせん妄の発現とその危険因子を明らかにするため,入院時に四肢麻痺を示した患者37例(男性34例,女性3例,平均37,3歳)のカルテを精査した。13例(35%)の患者がDSM-III-Rのせん妄の診断基準に合致する症状を示した。そのうち3例は脳挫傷(疑いを含む)を合併しており,せん妄の開始は意識混濁の回復と密接に関連していた。この群では脳挫傷がせん妄の危険因子であると考えられた。非脳挫傷せん妄群(10例)では,非せん妄群に比べ,第6頸髄に及ぶ感覚消失域を有するものが有意に多かったが,運動障害の程度とは有意な関連はなかった。このほか,平均年齢,集中治療,および手術の効果とも有意な関連はなかった。したがって,非脳挫傷群におけるせん妄の危険因子として広範囲な体性感覚障害を挙げることができよう。
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