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文献詳細

雑誌文献

精神医学41巻3号

1999年03月発行

研究と報告

熱射病を呈した精神分裂病の1例—緊張病症候群増悪後の悪性症候群発症の既往との関連

著者: 西村伊三男1 川上富美郎12 石黒淳13 松田幹14 福居顯二1 中嶋照夫15

所属機関: 1京都府立医科大学精神医学教室 2現,川上医院 3現,内海慈仁会有馬病院 4現,公立南丹病院 5現,佛教大学社会学部

ページ範囲:P.269 - P.273

文献概要

【抄録】 緊張病症候群の増悪の後に悪性症候群を発症した既往を有し,真夏日に熱射病を呈した精神分裂病の1例を報告する。1994年8月2日朝より悪寒を自覚し,さらに意識障害,高体温,呼吸状態の悪化を認めたため,当院を救急受診した。全身の冷却および呼吸,循環動態の治療を実施したが奏効せず,DICを併発し,翌日早朝に死亡した。熱射病の易罹病性が指摘されている抗精神病薬の服薬量は,それほど多いものではなかった。それにもかかわらず熱射病を呈したのは,その既往より推測される間脳を中心としたドーパミン神経系の脆弱性により,視床下部に存在する体温調節中枢が熱負荷に対して十分に機能しなかったためと考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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