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文献詳細

雑誌文献

精神医学41巻3号

1999年03月発行

研究と報告

痴呆の危険因子としての高血圧の疫学的検討—痴呆群の層別とロジスティック解析の問題点

著者: 苗村育郎1 阿部清子1 菱川泰夫1

所属機関: 1秋田大学医学部精神科学教室

ページ範囲:P.275 - P.281

文献概要

【抄録】 高血圧(HT)が脳卒中に限らず,さらに広い患者群に対する痴呆の危険因子であることを統計的に証明するために必要なステップを,520名の痴呆者を含む計3,097名を対象として示した。解析にはロジスティック回帰分析を用いた。その結果,(a)痴呆群全体をまとめて目的変数として,「あり/なし」で扱うかぎりはHTとの関係は明瞭にならない。(b)痴呆群を重度群と軽度群の2群に分ければ,アルコール(AL)過飲と高脂血症(HL)は軽度痴呆の有意な危険因子となる。(c)重度群からAlzheimer病などの変性疾患や慢性消耗性疾患に伴う痴呆(計13%)を除外することで,HTと痴呆との関係は明瞭となる(rr=1.83,p<0.0008)。この場合,脳卒中歴のある者を除外しても結論は変わらない(rr=1.79,p<0.003)。(d)因子間の交互作用に関しては,軽度群とは異なり,重度群においては,HTとAL過飲およびHLの間に正の交互作用は認められなかった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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