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文献概要

研究と報告

外傷性脊髄損傷におけるせん妄後うつ状態—病歴聴取による研究

著者: 南雲直二1

所属機関: 1国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所

ページ範囲:P.367 - P.371

【抄録】 外傷性脊髄損傷における受傷後のうつ状態とその発現に影響を及ぼすと考えられる臨床要因,特にせん妄性健忘との関連を明らかにするため,リハビリテーション医療期の患者51例(男性45例,女性6例,平均27.9歳)に対して,病歴聴取によりうつ状態の発現を調べ,うつ状態を示した患者とそうでない患者を比較検討した。19例(37%)にDSM-IVの小うつ病の診断基準に合致する症状が認められた。うつ状態は,受傷後比較的早期(1か月未満57.9%,1か月以上3か月未満15.8%,3か月以上26.3%)に始まり,ほとんどの患者において2,3か月で寛解した。うつ状態の発現はせん妄性健忘を持つ患者に統計的に有意に多発した。外傷後健忘,受傷時年齢,受傷後経過日数,性,性格(情緒安定・不安定),対麻痺・四肢麻痺,完全損傷・不全損傷,および教育年数についてはいずれもうつ状態の発現と統計的に有意な関連は認められなかった。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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