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文献詳細

雑誌文献

精神医学41巻4号

1999年04月発行

研究と報告

慢性精神分裂病患者の単身生活退院に関連する精神症状と生活障害—陽性・陰性症状評価尺度と精神障害者社会生活評価尺度を用いて

著者: 山科満14 岩波明2 岩崎晋也3 安西信雄1 風祭元1

所属機関: 1東京都立松沢病院 2昭和大学医学部精神医学教室 3現,法政大学大原社会問題研究所 4順天堂大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.381 - P.387

文献概要

【抄録】 社会複帰病棟に在棟し単身生活を目指す慢性精神分裂病患者38名について,精神症状を陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)で,生活障害を精神障害者社会生活評価尺度(LASMI)で評価した。1年後の転帰により退院群17名と入院継続群21名に二分し,2群間でPANSSとLASMIの評点を比較したところ,PANSSの3尺度では有意差はないが,LASMIのサブスケール中「日常生活」「労働または課題の遂行」で退院群が有意に評価がよいという結果が得られた。この結果から,単身生活を目指す精神分裂病患者の退院可能性を評価する際には,患者の行動観察から得られる生活障害の評価がより重要であると考えられた。さらにLASMIの評価項目のうち2群間で有意差が得られた8項目について検討を加え,それらの評価項目が退院後の単身生活の質に直接かかわる指標であるだけでなく,精神症状と関連があり,さらに生理学的なレベルでの疾病からの回復という意味合いまでも含む,広範な情報をもたらすものであることを述べた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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