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被害者学—最近の知見
著者: 小西聖子12
所属機関: 1東京医科歯科大学難治疾患研究所犯罪精神医学 2現,武蔵野女子大学
ページ範囲:P.460 - P.467
文献購入ページに移動はじめに—被害者学と日本の状況について
被害者学victimologyは,学際的な学問である。と同時に,欧米を中心に1970年代以降,その対象の範囲を拡大している。1973年に国際被害者学会の第1回シンポジウムがイスラエルのエルサレムで開催されたが,以後3年ごとにシンポジウムが行われ,1997年に,被害者学の先進国の1つであるオランダで第9回が行われている40)。その研究の対象は極めて多岐にわたっている。
日本における犯罪被害者への社会的関心は,ここ一,二年で急速に高まっており,被害者の活動やボランティアを中心とする援助組織の数も,大都市を中心に増加している。が,この小論を書くにあたり,我が国において,特に精神科領域の専門家において,「被害者学」という言葉がどのように理解されているのか,被害者援助を日常の仕事とする筆者にはどうもよくわからないというのが正直なところである。
被害者学victimologyは,学際的な学問である。と同時に,欧米を中心に1970年代以降,その対象の範囲を拡大している。1973年に国際被害者学会の第1回シンポジウムがイスラエルのエルサレムで開催されたが,以後3年ごとにシンポジウムが行われ,1997年に,被害者学の先進国の1つであるオランダで第9回が行われている40)。その研究の対象は極めて多岐にわたっている。
日本における犯罪被害者への社会的関心は,ここ一,二年で急速に高まっており,被害者の活動やボランティアを中心とする援助組織の数も,大都市を中心に増加している。が,この小論を書くにあたり,我が国において,特に精神科領域の専門家において,「被害者学」という言葉がどのように理解されているのか,被害者援助を日常の仕事とする筆者にはどうもよくわからないというのが正直なところである。
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