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文献詳細

雑誌文献

精神医学41巻5号

1999年05月発行

文献概要

研究と報告

母親のうつ病治療中に明らかになった児童虐待の外来治療例

著者: 水越三佳1 可知佳世子1 星野良一1 大橋裕1 伊豫雅臣1 森則夫1

所属機関: 1浜松医科大学精神神経医学教室

ページ範囲:P.487 - P.493

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【抄録】 母親のうつ病治療中に幼児虐待が明らかになり,母子に並行して治療を行った外来症例を報告する。母親は愛されて育った認識が希薄なうえに,自分の母親から虐待された経験を持っていた。また,結婚前よりうつ病に罹患し,自然軽快,増悪を繰り返していた。結婚,出産の後に,育児の負荷も加わり,重度の抑うつ状態を呈し精神科を受診した。母親の治療経過中に子どもへの虐待に気づかれた。子どもには未熟児,頭蓋内出血といった周産期の障害に加え,下垂体性小人症があった。子どもは母親との愛情遮断のため,多動や集団不適応を示していた。地域ネットワークの協力を得ながら,母親と子どもへの治療を行い,虐待は消失した。本論文では,うっ病が虐待の要因となりうることを指摘し,また,このような症例に対する我々の治療経験を述べる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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