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文献詳細

雑誌文献

精神医学41巻5号

1999年05月発行

研究と報告

被虐待体験を持つ境界性人格障害の2成人例

著者: 中村曜子1 中田潤子1 飯嶋宏枝1 三田のりこ1 笠原敏彦1

所属機関: 1国立国際医療センター精神科

ページ範囲:P.495 - P.500

文献概要

【抄録】 幼少期から児童期・思春期まで長期にわたる母親からの虐待が外傷体験となり,様々な心理的問題を示した2成人例について報告した。両症例とも児童・思春期の心理的発達に歪みが認められ,18歳以降になると,著しい見捨てられ不安,自傷行為,情緒不安定など境界性人格障害の特徴が顕著となった。
 心的外傷を負った人の治療法として,安全性の確保が第1条件と言われている。しかし,過去に最も安心できるはずの母親から慢性的に虐待されると,他者を信頼したり依存することが不安を引き起こすため,治療関係の形成や維持も困難であった。こうした症例といかに治療同盟を結ぶかが大きな課題として残された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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