icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学41巻5号

1999年05月発行

研究と報告

海馬および側頭萎縮と高血圧の関係についての画像疫学的検討

著者: 菅原純哉1 苗村育郎1

所属機関: 1秋田大学医学部精神科学教室

ページ範囲:P.505 - P.512

文献概要

【抄録】 精神科受診者1,917例のうちMRIにて両側性海馬萎縮を示した124例について,その危険因子として高血圧の役割を解析した。(1)海馬萎縮に関するロジスティック解析によれば,加齢を別にすれば高血圧が各種の生活習慣病の中で唯一の有意な危険因子であり,その相対危険度はrr=1.84(p<0.01)であった。(2)高血圧はまた,側頭萎縮に関しても有意な危険因子であった(rr=2.61,p<0.0001)。(3)側頭萎縮と海馬萎縮との関係を検討した結果,両者は互いの危険因子とはならず,海馬萎縮が側頭萎縮の部分現象として生じている可能性は否定された。(4)両側の海馬に明らかな萎縮があれば,その症例の93%(116/124例)に痴呆,75%(93/124例)に高血圧の合併があった。海馬の萎縮が,記銘力障害を前景に持つ緩徐進行型痴呆の主因となったと思われる例(海馬萎縮性痴呆)は今回の全痴呆者の8%(32/390)であり,海馬萎縮者の26%(32/124)であった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら