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文献詳細

雑誌文献

精神医学41巻6号

1999年06月発行

特集 治療抵抗性の精神障害とその対応

治療抵抗性の気分障害の診断基準と治療

著者: 樋口輝彦1

所属機関: 1昭和大学藤が丘病院精神神経科

ページ範囲:P.595 - P.599

文献概要

はじめに
 精神分裂病に比べてうつ病は治りの良い病気と考えられてきた。確かに自然治癒率は分裂病よりはるかに高いのは事実である。しかし,最近の研究において躁うつ病の再発率が意外に高いこと,うつ病の自殺率が高いこと,難治のうつ病が存在することなどがクローズアップされるにつれて,「うつ病は予後の良い病気」とは言い切れなくなってきた。難治のうつ病がどれくらい存在するかについては,十分な疫学的調査は乏しいが,難治性(治療抵抗性)うつ病を慢性うつ病に置き換えてみると,およそ12〜17%程度存在するとされる24,1)。難治例の多くは年余に及ぶ病相の持続のために社会生活が円滑に行えず家族の負担も大きい。難治に至る要因は生物学的,心理・社会的要因が複雑に絡み合っている場合が多く,その要因の解明には総合的,多面的な観点が必要である。ここでは,とりあえず治療抵抗性うつ病をさらに「薬物治療抵抗性」に限定して,その診断,治療の現状について総説する。また,しばしば,「難治性うつ病」という用語が用いられ「治療抵抗性うつ病」との異同が論じられるが,ここでは便宜的に同じ概念とみなして文献の紹介などを行うことをあらかじめお断りしておく。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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