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特集 治療抵抗性の精神障害とその対応
遷延化した気分障害に対する精神療法的アプローチ
著者: 鈴木幹夫1 広瀬徹也2
所属機関: 1神経研究所附属晴和病院 2帝京大学医学部精神神経科
ページ範囲:P.601 - P.606
文献購入ページに移動気分障害の軽症化や遷延化が話題になってからすでに久しい。一般に予後がよいとされるうつ病の患者に,抗うつ薬と十分な休養,環境調整を含む支持的なかかわりを尽くし,順調に回復していた矢先に,そのペースが鈍り,霧の中を抜けきれないかのように停滞してしまう人々がいる。臨床家ならだれでもそのような臨床的な「事態」に気づいていよう。近年の軽症うつ病の多発は,内因性という従来の考え方では理解困難で,個人の社会的条件の変化に対する不適応とみるべき者も多い。従来のように数か月で寛解する患者は少なく,かなりの期間服薬と通院を必要とするのが今日の平均的うつ病だ,とする意見もある16)。しかし,遷延うつ病の病相予後は良好とはいえないが,長期予後は良いものもあることを忘れてはならない6)。
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