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研究と報告
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【抄録】 精神科デイ・ケアに通所を開始した20名と,同時期,年齢,性および重症度の一致した通院中の15名の精神分裂病者を陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)により,1年間,前方視的に評価した。陽性尺度,陰性(N)尺度および総合精神病理(G)尺度の得点の経時的変化を2要因分散分析により解析し,また,各尺度の改善度を比較した。その結果,分散分析では3尺度ともデイ・ケアの併用による効果を認めず,また,N尺度とG尺度で改善傾向を示す症例のみが増加した。最近の知見を考慮すると,二症候群仮説を前提とした場合,精神科デイ・ケアは陽性症状群に対し長期的な効果がなく,一方,陰性症状群と全般的重症性に対する効果はPANSSの下位尺度により検出できないと考えられた。
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